「MASUNAGA1905 八重洲店」にて、オープン記念トークイベント「視点を更新するクラフトマンシップ」を開催いたしました。

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6月10日(水)に「MASUNAGA1905 meets ARTISTS」の第2弾企画として、新たにオープンした「MASUNAGA1905 八重洲店」にて、オープン記念トークイベント「視点を更新するクラフトマンシップ」を開催いたしました。

「広告では伝えきれない価値がある」─120年を超えるクラフトマンシップとアートが交わる理由

本イベントには、アーティスト・小林健太、増永眼鏡株式会社 代表取締役社長・増永宗大郎、「MEET YOUR ART」を主宰するエイベックス・クリエイター・エージェンシー株式会社 代表取締役社長・加藤信介が登壇。眼鏡づくりとアート、それぞれの領域におけるものづくりの思想や、企業との協働、技術との付き合い方や伝統と革新の関係性について語り合いました。「メガネを作ること」が目的ではなかった
今年の6月1日に創業121年を迎えた増永眼鏡。現在は製品の約8割を海外市場へ展開し、日本を代表するアイウェアブランドの一つとして世界各国で支持を集めています。

しかし増永は、その原点について次のように語りました。「眼鏡を作ることが目的ではなく、地域や社会の役に立つことを考えた結果として、眼鏡づくりにたどり着いた」

さらに、「眼鏡をやることになった以上は、良いものを作ってお客様に届け続けたい」

と話し、120年にわたり受け継がれてきたクラフトマンシップの根底には、製品そのものではなく社会への貢献という思想があることを紹介しました。

また、眼鏡づくりについては、「掛け心地、耐久性、デザイン。その三つがうまく融合していることが良い眼鏡だと思う」と語り、自社で設計開発から金型製作、部品加工、表面処理、組み立てまでを一貫して行う内製化の強みについても触れました。

 

「アーティストになりたい」よりも、「よく生きたい」
一方、小林は自身がアートに惹かれた原体験について振り返ります。

「アーティストになりたいというよりも、よく生きたいという感覚が先にあった」

それは作品をつくる職業への憧れというよりも、仲間や先輩、後輩たちと関わりながら文化を育み、面白いことを生み出していく生き方/豊かさへの憧れだったといいます。

現在、小林は写真、映像、デジタルメディアを横断しながら活動しています。

街の光や色彩、テクスチャーを観察し、それらを解体・再構築するように作品へ落とし込む独自の表現についても紹介し、「風景をテクスチャーや色として一度解体し、それを絵画のように組み立て直している感覚がある」と、自身の制作について語りました。

左から)アーティスト・小林健太、増永眼鏡株式会社 代表取締役社長・増永宗大郎

「広告では伝えきれない価値」がある
今回のプロジェクトのテーマの一つとなったのが、企業とアートの協働です。増永は、アートプロジェクトを継続する理由について次のように語りました。

「新聞広告を出したり、テレビCMを打ったりして買いに来るような商品ではない」

その上で、「ただ眼鏡を見せて『良いでしょう』というだけではなく、どんな思いでつくっているのか、どんな考え方を持った会社なのかを知ってもらいたい」

「眼鏡だけでは表現しきれない部分を、アートとの協働によって伝えられるのではないか」

と説明。商品そのものではなく、その背景にある思想や姿勢を伝える手段として、アートとの協働に取り組んでいることを明かしました。

 

アーティストだから見える企業の本質
こうした企業とアーティストの協働について、加藤は次のように語ります。

「アーティストは普段、誰かの依頼や市場の要請からではなく、自分自身が設定した問いに向き合いながら作品を生み出している。だからこそ企業やブランドと向き合ったときに、通常のリサーチやマーケティングでは辿り着けない掘り下げ方ができる。企業自身も想像していなかった価値や魅力が見えてくることがある」

アートとの協働は単なるプロモーションではなく、ブランドそのものを見つめ直し、その本質を再発見するプロセスでもあるという考えを述べました。

 

視点を更新し続けることが、クラフトマンシップを未来へつなぐ
トークでは、AIをはじめとするテクノロジーとの向き合い方についても議論が交わされました。小林は、「合理化して先へ進むだけではアートは生まれない」「意味がないように見える遊びや寄り道の中にこそ価値がある」と語り、効率化が進む時代だからこそ文化や創造性の余白を守ることの重要性を指摘しました。

また、「面白い人たちと一緒に何かを続けていくこと自体が文化をつくる」と話し、コミュニティや人とのつながりの大切さについても触れました。

 

120年にわたりクラフトマンシップを磨き続けてきた増永眼鏡と、既存の価値観を問い直しながら新たな視点を提示するアーティスト。

その対話から見えてきたのは、製品や作品をつくることそのものではなく、その背景にある思想や価値観を社会へ届けることの重要性でした。

トークイベント終了後には、参加者が実際にプロダクトを手に取りながらフィッティングや購入を楽しむ姿も見られ、「MASUNAGA1905 八重洲店」が掲げるクラフトマンシップを体感する機会となりました。

企業とアーティストが互いの視点を持ち寄ることで生まれる新たな発見。「MASUNAGA1905 meets ARTISTS」は、その可能性を探る取り組みとして今後も展開してまいります。

 

「MASUNAGA1905 meets ARTISTS vol.2 Kenta Kobayashi」について
「MASUNAGA1905 meets ARTISTS」は、増永眼鏡創業120周年を記念し、現代アーティストとの協働を通じてブランドの思想やものづくりの姿勢を発信するプロジェクトです。

第2弾となる今回は、小林健太を迎え、「MASUNAGA1905 八重洲店」のエントランスで作品展示を実施している他、小林の作品を用いたオリジナルセリートを制作し、対象店舗にて配布しています。眼鏡という日常的なプロダクトと現代アートを接続することで、新たな視点との出会いを創出します。※ご好評につき、予定数量に達したため、対象店舗での配布は終了いたしました。


MASUNAGA1905 八重洲店

 

小林健太について
photo by Tatsuki Nakata

1992年、神奈川県川崎市生まれ。2015年、東京造形大学絵画専攻を卒業。現在、東京を拠点に活動中。2015年から現在に至るまで、現代写真/現代アートの領域で、 数多くの国内外のグループ展・個展に参加。

主な個展に「#copycat」WAITINGROOM(東京、2025年)、「THE PAST EXISTS」三越コンテンポラリーギャラリー(東京、2022年)、主なグループ展に「COMING OF AGE」フォンダシオン ルイ・ヴィトン(パリ、2022年)、 「ハロー・ワールド」水戸芸術館(水戸、2018年)など。2019年には、マーク・ウェストン率いるダンヒルとのコラボレーション、 また、ヴァージル・アブロー率いるルイ・ヴィトンのキャンペーンを手がける。